いぼ
イボは、ヒトパピローマウイルスという病原菌によっておこる感染症です。一般的に手のひらや足裏にできる場合が多いですが、うつる病気のため、他に全身のどこにでも発生します。イボは、病原菌が目に見えないほどの小さな皮膚の傷から侵入し、数週間~数年間の潜伏期間を経て、目に見えるような大きさに成長して発生します。放置すると、どんどん大きくなったり、他の皮膚にうつって徐々にイボの数が増えてゆくことがあり、ドアノブや床、スリッパなどを通じて他人にもうつすこともあります。特にアトピー性皮膚炎や手荒れの方は引っ掻いたりしてうつりやすいので注意が必要です。特殊なウイルス性イボとして「青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい。顔面に多発するイボ)」や尖圭コンジローマ(陰部にできる性病)などもあります。
イボの治療
イボに対する特効薬は、残念ながら存在しません。放置しておくといずれ自然に治る場合もありますが、通常は液体窒素(チッ素)という冷たい液体でイボを凍らせ、ダメージを与えることでイボを除去します。ただ、この治療法は残念なことに痛みを感じます。当院では、以下のような痛くない方法も併用してなるべく早く治してゆきます。
- サリチル酸絆創膏を貼る
- 活性型ビタミンD外用
- グルタルアルデヒド外用
- 漢方薬(ヨクイニン)の内服
- 暗示治療
その他にモノクロル酢酸塗布、抗がん剤局所注射、インターフェロン局所注射、レーザーや電気メスによる焼灼術、手術による摘出、尿素クリーム外用、ビダラビン外用、グルタルアルデヒド外用、フェノール外用、エタノール外用、レチノイド内服、お灸など数多くの治療法があります。治療法が多くあるということは、それだけイボが治りにくいということの表れでもありますが、患者さまにあった治療を組み合わせる必要があります。
日常生活の注意点
- イボが小さなうちに、早めに皮膚科を受診しましょう。
- 手荒れがある場合は、イボが広がりやすいため、手荒れの治療も同時に行いましょう。
- 男性の顔にイボができているときは、ヒゲそりでイボが広がることがあります。電気シェーバーでやさしくヒゲそりをしましょう。
- 靴下などの洗濯物を別にする必要はありません。
- 液体窒素の治療で水ぶくれや血豆になることがありますが、心配いりません。医師の指示通りに処置しましょう。